箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
 帰宅を遅らせ慌てて資料室に戻り、過去のアメニティ関係のデータを確認すると衝撃の事実を知ってしまった。

 商品を探すことに夢中だった私は過去の価格データを全く認知していなかった。

「嘘でしょ? そんなに……?」

  自分が選んだタオルの単価が、一般的なリゾートで使われるものとは比較できないほど高価なものだと今になって気づく。私が当たり前で普通だと思って選んだタオルの単価は一般的なビジネスホテルの20倍、このプロジェクトの予算上限の10倍を超えていたのだ。

 これではどれだけ宿泊客が入っても採算が取れない。それなのになぜか企画が通ってしまった。そこに引っかかる「特別助成金」それはなんだ? 玄野さんと一緒にいたあの男性が言っていた通り、出所はどこから? 

 そしてそれを玄野さんは把握している、理解している。

 ――おぼっちゃん? どういうこと……玄野……。

 ハッとして思い出す。私はそのとき、頭を殴られたような衝撃に襲われた。

 入社試験のために本社資料ももちろん読んだ。背景や業績重視でざっくり理解した、その程度で……FJリゾーツへの内定が決まってからは目の前のことに、毎日に必死でそれどころではなかったのだ。

「玄野……社長と同じ名前? じゃあ玄野さんは……社長の息子なの?」

 けれど確か、社長の息子は本社にいたはずだ。歳も少し上だった記憶がある。

 本社の上層部に在籍していると役職紹介欄に記載されていたのだ。玄野さんよりも確実に年上のはずだ。玄野さんは分家された会社のチームリーダーに当たる人、扱いに差がある。

 ――社長の息子は、まだいたの? 玄野さんは弟ってこと? でもなぜ玄野さんは本社にいないの?

 悶々した気持ちがより膨らむ。オフィスに戻って上司の姿を探すものの見当たらない。ホワイトボードには運が悪く本社に出向いていると記載されていて、そのまま直帰とある。

 なぜ私の企画が通ったのだろう。玄野さんのチェックを受けて、最終的に上に回したのは杉山さんだろう。だから杉山さんが特別助成金の出所を知らないはずがない。それでももう今日確かめるのは難しそうだ。

 ――玄野さんに……聞く?

 その考えはもちろん浮かんだが、色々気になることがありすぎで落ち着いた気持ちで聞けそうにない。しかたない、明日の朝イチで確認すればいい。そう思っていたのだが……。
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