箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
 翌朝。
 よく眠れた私は少しだけ気分も落ち着いて、脳はクリアになっている。腫れはまだ残るものの昨日ほどではない。冷水でしっかり洗い、私は自分に気合を入れるように腕に衣服を通した。
 
 きっと玄野さんは私と話をまだしようとしてくるに違いない。昨日は逃げてしまったけれど、きちんと玄野さんと話し合うべきだとも思う。一方的な私の意見だけをぶつけられて玄野さんにも言い分はあるだろう。そしてこれからまた仕事をしていくうえでちゃんと関係性を見つめ直す必要があると思うのだ。
 
 自室からダイニングへ足を運ぶと、ママが優雅に朝のティーカップを傾けていた。
 
「おはよう、ママ。昨日はごめんね、もう大丈夫だから仕事に行ってくる」
 
 椅子に手を伸ばして座ろうとした瞬間、ママの冷ややかな声が私の耳に届く。
 
「もう行く必要はないわよ」

 ――え?
 
「あなたの仕事ならもう終わったの。行かなくていいわ」
「え……? どういうこと?」
 
 意味がわからない、そんな声色で問いかけるもののママはニコリと微笑んで悪びれもせず言うのだ。
 
「パパにお願いして、昨日のうちに退職の手続きを済ませてもらったの。あそこまでボロボロになって可哀想に、ひどい会社だわ。あんな場所でもう働くことなんかないのよ。あなたもよくわかったでしょ? 自分でも無理だって言ったじゃない。無理だったのよ」

 ――そんな……!
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