箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
「ハーフアップされた髪につけるのはどちらにしますか?」
並べられた華やかなリボンと、パール装飾されたバレッタを並べられて聞かれるものの素直な気持ちを答える。
「……どっちでもいいわ」
「お嬢様の綺麗な黒髪にはこのゴールド素材のレースがあしらわれたリボンがお似合いかもしれませんね。奥様がパールのイヤリングをとおっしゃっていましたので髪飾りはリボンにいたしましょうか」
「任せるわ」
髪の毛をとかれながらぼんやりした声で答えたのは、脳内は別のことを考えていたから。
退職が決まってから、数日が過ぎた。突然なにも言わず辞めるという社会人にあるまじき行動を取ったら少しくらい騒動になるかと思っていたが、現実は拍子抜けするほどに静かなものだった。私の携帯には、上司からもFJリゾーツの総務からもなにと連絡はなく、静かになんの問題もなく退職手続きが行われた。そして当然、玄野さんからも連絡はない。
――連絡があるわけないけど。個人的な連絡先なんか知らないし知らせていない。
最後会ったあの日。拒絶するように思いをぶつけて逃げ出した私だ。向こうからすれば、もう関わりたくない相手に違いない。放り出した仕事と共に、デスクの備品などの後始末までさせられて迷惑しているかもしれない。玄野さんにとっては、目障りな残骸ばかり残されているだろう。
並べられた華やかなリボンと、パール装飾されたバレッタを並べられて聞かれるものの素直な気持ちを答える。
「……どっちでもいいわ」
「お嬢様の綺麗な黒髪にはこのゴールド素材のレースがあしらわれたリボンがお似合いかもしれませんね。奥様がパールのイヤリングをとおっしゃっていましたので髪飾りはリボンにいたしましょうか」
「任せるわ」
髪の毛をとかれながらぼんやりした声で答えたのは、脳内は別のことを考えていたから。
退職が決まってから、数日が過ぎた。突然なにも言わず辞めるという社会人にあるまじき行動を取ったら少しくらい騒動になるかと思っていたが、現実は拍子抜けするほどに静かなものだった。私の携帯には、上司からもFJリゾーツの総務からもなにと連絡はなく、静かになんの問題もなく退職手続きが行われた。そして当然、玄野さんからも連絡はない。
――連絡があるわけないけど。個人的な連絡先なんか知らないし知らせていない。
最後会ったあの日。拒絶するように思いをぶつけて逃げ出した私だ。向こうからすれば、もう関わりたくない相手に違いない。放り出した仕事と共に、デスクの備品などの後始末までさせられて迷惑しているかもしれない。玄野さんにとっては、目障りな残骸ばかり残されているだろう。