箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
そして本社に呼び出された俺が社長室の扉を叩くと、そこには兄・貴政もいた。
「巳波財閥がバックにつけば国内で怖いものないじゃないですか。国内不動産の要、海外リゾートとの相互開発が実現すれば、双方にとっても悪くない」
「ああ。だからこそこの縁談は成功させたい」
父の落ち着いた声に貴政が答える。
「長男である私が婿に入れば、意思決定も一本化できるでしょう。向こうの格式も潰さない、それが一番では?」
国内屈指の不動産財閥であれば、海外リゾート企業である玄野の家としては、たとえ長男である貴政を婿に出してでも、その巨大な資本と繋がる価値があると父親も判断している。そしてなにより、貴政自身が。
「婿入りしても、実質的に巳波財閥を支配できるでしょう」
長男を送り込み、格式を尊重した風にみせて、向こうの財閥を実質的に乗っ取らせようとする野心が透けて見える。このビジネス的な侵略の意図が佳乃という存在を秤にかけられ進められているのだ。
「一点、確認を」
俺は資料に視線を落としたまま、口を開く。
「何だ」
父の声に顔をあげて視線を向けると貴政も俺を見ている。張り詰めたような空気、俺がふたりの会話に今まで口を挟んだことなどないのだから。
「この提携、成功前提で話が進んでいますが、もし初期開発でつまずいた場合、責任の所在はどこに置くおつもりですか」
「珍しく口を挟むと思ったら……何が言いたい」
貴政がわずかに眉を動かして冷ややかな声で刺すように聞いてくる。
「向こうは一人娘です。失敗すれば、こちらに対する感情的な反発も避けられない。嫡男である兄が前面に立つのはリスクが高いのではと」
父は黙って聞いている。この人は感情では動かない、けれど俺が初めて意見したことに驚いているように見える。
「ほぉ。じゃあなにかいい代替案でもあるのか」
「あります」
はっきり声にすると父は目を見開いた。
「巳波財閥がバックにつけば国内で怖いものないじゃないですか。国内不動産の要、海外リゾートとの相互開発が実現すれば、双方にとっても悪くない」
「ああ。だからこそこの縁談は成功させたい」
父の落ち着いた声に貴政が答える。
「長男である私が婿に入れば、意思決定も一本化できるでしょう。向こうの格式も潰さない、それが一番では?」
国内屈指の不動産財閥であれば、海外リゾート企業である玄野の家としては、たとえ長男である貴政を婿に出してでも、その巨大な資本と繋がる価値があると父親も判断している。そしてなにより、貴政自身が。
「婿入りしても、実質的に巳波財閥を支配できるでしょう」
長男を送り込み、格式を尊重した風にみせて、向こうの財閥を実質的に乗っ取らせようとする野心が透けて見える。このビジネス的な侵略の意図が佳乃という存在を秤にかけられ進められているのだ。
「一点、確認を」
俺は資料に視線を落としたまま、口を開く。
「何だ」
父の声に顔をあげて視線を向けると貴政も俺を見ている。張り詰めたような空気、俺がふたりの会話に今まで口を挟んだことなどないのだから。
「この提携、成功前提で話が進んでいますが、もし初期開発でつまずいた場合、責任の所在はどこに置くおつもりですか」
「珍しく口を挟むと思ったら……何が言いたい」
貴政がわずかに眉を動かして冷ややかな声で刺すように聞いてくる。
「向こうは一人娘です。失敗すれば、こちらに対する感情的な反発も避けられない。嫡男である兄が前面に立つのはリスクが高いのではと」
父は黙って聞いている。この人は感情では動かない、けれど俺が初めて意見したことに驚いているように見える。
「ほぉ。じゃあなにかいい代替案でもあるのか」
「あります」
はっきり声にすると父は目を見開いた。