箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
ギュッと掴んでいた手を強く引き寄せたと思ったら一瞬だった。
玄野さんの胸の中に包まれる。いつか鼻を掠めた爽やかで甘い香りが私を痺れさせる。
「寂しい」
呟くように耳に囁かれた言葉。
甘く低い重低音が耳奥から脳へと響くようで、その言葉に目を見開く。
「君がいなくなって、いつでも笑ってそばにいてくれた君が目の前から消えたみたいにいなくなったらたまらなくなった。寂しくて……どうしようもない」
ぎゅうっと抱きしめる腕に力が込められて苦しい。でもどうしよう。苦しいのに、もっと抱きしめてと思う。視界が滲んでぼやけてくる。身体が小刻みに震えて止まらなくて、それをあやすように優しく背中を撫でられると勝手にあふれ出てくるものがある。
「泣くな」
同じ言葉を繰り返す玄野さん。
「泣くな、なんて……無理です」
だって私も……私だって……。
「私も……寂しかった。会えなくなって、もう会えないって思って……忘れたくないのに忘れなきゃって……毎日寂しい。寂しくて寂しくて……寂しい」
家でひとりでいると思い出す。オフィスで話した時間、一緒にバスに乗った日のこと、ラーメン屋で見つめ合った時間……玄野さんと過ごしたいろんな時間が忘れられない。でも――。
「もう、忘れなきゃって……思ってたっ」
色あせていく景色の中で玄野さんと見つめ合って言葉を交わした時間だけがいつまでも輝き続ける。でもそれはもう二度と手にすることのない遠い記憶として生き続けるのだと思っていたから。
「傷つけてごめん」
「違う、違うんです、そうじゃ……」
「俺は君に釣り合わない、相応しくないと思った。君に手を伸ばすことを頭から諦めてた。でも、俺が必ず君を幸せにする。幸せにしたいって……涙を浮かべた君を見て思った。もう悲しませたり泣かせるようなことはしない、これからは俺が……! 君が本当にほしいものを与えてやりたいって。だから……」
玄野さんの腕の力がフッと緩んでその手が両頬を優しく包み込む。暖かな手が濡れた頬を拭ってくれる。冷たい雫が玄野さんの手のひらを濡らしてしまうのに、その手は離されることはない。
「俺が君の……佳乃のそばにいたい。佳乃のそばにいる権利を誰にも譲りたくない。兄貴には渡せない、だから巳波社長にも頼みに行った」
「え?」
「俺と結婚してほしい。俺を、佳乃の相手として受け止めてくれないか」
玄野さんの胸の中に包まれる。いつか鼻を掠めた爽やかで甘い香りが私を痺れさせる。
「寂しい」
呟くように耳に囁かれた言葉。
甘く低い重低音が耳奥から脳へと響くようで、その言葉に目を見開く。
「君がいなくなって、いつでも笑ってそばにいてくれた君が目の前から消えたみたいにいなくなったらたまらなくなった。寂しくて……どうしようもない」
ぎゅうっと抱きしめる腕に力が込められて苦しい。でもどうしよう。苦しいのに、もっと抱きしめてと思う。視界が滲んでぼやけてくる。身体が小刻みに震えて止まらなくて、それをあやすように優しく背中を撫でられると勝手にあふれ出てくるものがある。
「泣くな」
同じ言葉を繰り返す玄野さん。
「泣くな、なんて……無理です」
だって私も……私だって……。
「私も……寂しかった。会えなくなって、もう会えないって思って……忘れたくないのに忘れなきゃって……毎日寂しい。寂しくて寂しくて……寂しい」
家でひとりでいると思い出す。オフィスで話した時間、一緒にバスに乗った日のこと、ラーメン屋で見つめ合った時間……玄野さんと過ごしたいろんな時間が忘れられない。でも――。
「もう、忘れなきゃって……思ってたっ」
色あせていく景色の中で玄野さんと見つめ合って言葉を交わした時間だけがいつまでも輝き続ける。でもそれはもう二度と手にすることのない遠い記憶として生き続けるのだと思っていたから。
「傷つけてごめん」
「違う、違うんです、そうじゃ……」
「俺は君に釣り合わない、相応しくないと思った。君に手を伸ばすことを頭から諦めてた。でも、俺が必ず君を幸せにする。幸せにしたいって……涙を浮かべた君を見て思った。もう悲しませたり泣かせるようなことはしない、これからは俺が……! 君が本当にほしいものを与えてやりたいって。だから……」
玄野さんの腕の力がフッと緩んでその手が両頬を優しく包み込む。暖かな手が濡れた頬を拭ってくれる。冷たい雫が玄野さんの手のひらを濡らしてしまうのに、その手は離されることはない。
「俺が君の……佳乃のそばにいたい。佳乃のそばにいる権利を誰にも譲りたくない。兄貴には渡せない、だから巳波社長にも頼みに行った」
「え?」
「俺と結婚してほしい。俺を、佳乃の相手として受け止めてくれないか」