箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
 あれから月日が少し流れて、無事23歳の誕生日が過ぎた。そして今、念願のオフィス勤務! 社会人生活をスタートさせられた私。
 
 勤め先はフロンティア・ジャパン・リゾーツ、通称FJリゾーツ。離島や未開発地の再生に力を注いでいる今勢いのある会社だ。

 サステナブル型を最先端で取り入れてメディアでも話題になり、世界中で注目され今や海外富裕層に人気のリゾート専門企業。これからはより日本市場に目を向けると本格参入が課題となっている上場企業だ。このFJリゾーツは本社をシンガポールに構える海外高級リゾート開発事業、フロンティア・ホールディングスから分社独立して設立されている。

 国内土地でホテル運営のノウハウや土地財産を守り、価値を育てることをメインにしている保守的な巳波財閥とは対極な感じはする。それでも勤め出して感じるのは、双方に将来性があるということ。日本だからこその良さと伝統。海外展開の攻めと集客力。

 ――パパはそういうことも学べって言ってるのかな。

 対極でありそうで、お互いに足りないもの。それをうまく共鳴させられたら事業はもっと拡大していくのだろう。そういうことは勤め出して学べたことだ。自分の知識と常識しか知らない世界で生きてきた。それこそ、巳波財閥が世間からどのような企業として見られているのかは意識したことがない。

 長く続き大きくなった分、凝り固まりすぎた部分もある。時代と流行りに柔軟に対応する力、それらは弱い気がした。格式が際立ち過ぎて見えにくいだけだが、きっといつか時代に取り残される……そんな気がしてならない。そしてそれをパパもきっと気づいているのだろう。だからパパはこの海外リゾート開発に重きを置いている企業に私を勤めさせることを考えたのかもしれない。
 
「海外リゾートはうちにない魅力もあるし、今後うちも海外への進出は避けられないからな。しっかり佳乃も勉強してきなさい」

 働きたい、そう願ったあの日。パパが私に投げたある条件とは――。
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