箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
 そうだ。その通りだ。
 普通の子だったらできる恋だって、一度もしたことがない。

 私は、添い遂げる人のために時間を費やしてきたのに、その相手を自分で見つけることも探すことさえできない。
 
「だったら、その相手が見つかるまで!」

「ええ?」

「結婚相手が見つかったらすぐに仕事を辞めるわ。ママの言う通りにする! それじゃダメ!?」

「あなたそこまでして……」

「佳乃」

 パパの声にハッとした浮かせかけた腰がソファに戻される。胸が昂るのがわかる。どくどくと身体を脈打つ感覚、それくらい緊張した。パパの声が、静かに諭すように発せられたから。

「佳乃が自分のやりたいことを声に出して言うのは初めてだな」

「……」

「23歳……もうそれだけ大人になったんだな」

「パパ……私……」

「ひとつだけ条件がある。それを踏まえた上でよく考えて答えを出しなさい」

 真っ直ぐに見つめながらパパの言葉を待つ私。シンッと静まる部屋の中で秒針の音と私の鼓動の音だけがやたら耳に鳴り響いていた。
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