箱入り令嬢ですが恋がしたいのです〜選ばれなかった御曹司に溺愛されて結婚します〜
「好きな会社に行けばいい、とは言えん。佳乃が社会で学びたい気持ちは分かった、そしてそれが自分の将来に役立てるものにするというなら、必ず意味のある場所で働きなさい」

「……はい」

「佳乃が候補に挙げてきた企業をざっくり見たけれど、どれも不動産関係だな。自分のやりたいこと、よりも家のことを考えて選んできたんだな」

 素直に頷くとパパはフッと微笑んだ。

「本当は働いてみたい職種とかがあるんじゃないのか?」

「え?」

「それでも、佳乃が選んできた企業はどこも将来性を感じる。佳乃がここで学ぶことがきっと意味のある物だとわかる。そう私に言わせるために選んだのだろうとも」

 反対される覚悟で持っていった。だからこそ、パパに少しでも好意的にみてもらうために同業企業を選別したことは案の定見破られていた。肩をすくめる私にやっぱりパパは微笑んで言ってくれた。

「戦略は大事だ。交渉術のひとつだな。ここで何が学べるんだ、が言えない」

「パパ……」

「自分の力を試したい、お前がそう言うなら、本気を見せてみろ。ちょうどこの企業が大規模な採用活動をしている。そこに『私の遠縁の親戚』というだけの推薦枠で応募させてやる。だが、選考は他の応募者と同じだ。そこで落ちるようなら、大人しく諦めて家に戻れ」

 ――え?

「本当に頑張ると言うなら、巳波財閥の娘であることを公言するな。遠縁の親戚とでも言って勤めるんだ。それくらいの覚悟はあるんだろう?」

 パパの出してきた条件、それは指定される企業の公募を自力で通り娘であることを公言しないということだった。
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