35歳独身、年下後輩に溺愛されています

第1章 35歳独身、何も始まらない日常

同僚たちが帰った後のオフィスは、驚くほど静かだった。

残った仕事を片づけようと、私は一人パソコンに向かう。

「あーあ、今日も終わった。」

思わずこぼれた独り言と一緒に、背伸びをして凝り固まった体を伸ばす。

時計の針はもう定時を大きく過ぎていた。

三十五歳。独身。

周りを見渡せば、同僚も友人も、いつの間にか結婚して家庭を持っている。

でも、私だって恋愛をしてこなかったわけじゃない。

誰かを好きになって、傷ついて、それでも前を向いてきた。

ただ——

人生を共に過ごしたいと思える相手に、まだ巡り合っていないだけ。

そう自分に言い聞かせながら、ここまで歩いてきた。

「……これで仕事も、ちゃんと結果が出てたらいいんだけどな。」

画面に映る数字を見つめながら、大きく息を吐く。

仕事も恋も、どちらも中途半端なまま取り残されたような感覚。

静まり返ったオフィスで、私は自分の鼓動だけを感じていた。
< 1 / 3 >

この作品をシェア

pagetop