Bella Notte
「そろそろ帰るよ。明日の飛行機の昼の便を取っておいたから」

 抗議の声を封じるように最後まで言い切る。

「大丈夫だから、一緒に帰ろう」

 そう言って穏やかに笑って……。

 ―――― 桜井が帰っていくのを見送ってから、静かに照らす月光の中、自室に戻って、ベッドへ潜り込む。

 健人くんはすでに寝てしまったらしく、2階はひっそりと静か。

 レースのカーテン越しに見る月光は、神秘的で。

 あの頃、このベッドの上で見ていた風景そのまま。

 お父さんもお母さんもまだ生きていて。

「会いたいな……」

 そう呟きながら、静かに夢の中におちて行った。


「おはよう」

 キラキラと輝く太陽の光が、リビングの窓から差し込むのを背に、仏壇のお父さんとお母さんに手を合わせて挨拶をする。

「また、帰ってくるからそれまで見守っててね」

 そう言って、しばらく静かに手を合わせる。

(2人とも生きてたら、桜井の告白を聞いてきっと笑って祝福してくれたんだろうな)

「楓ちゃん、少しでいいから、一緒に食べよう」

 そう言って、健人くんはいい香りのする温かい紅茶と、カットしたフルーツをダイニングテーブルに並べてくれる。

「ありがとう、じゃあいただこうかな」

 そう言って向かい合って座る。

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