Bella Notte
「いただきます」と言って、りんごと、綺麗にカットしてある青切りみかんがお皿の上に乗っているのに気づく。
「楓ちゃん、みかん好きだったよね」
そう言って昔のままの笑顔で優しく包み込んでくれる。
こうしていると、本当に温かい気持ちになって。
「覚えてくれてたんだ」
泣きそうになりながら、お礼を言って。
この温かい時間は、あの辛い出来事を乗り越えようとしていた時期には本当にありがたかった。
……でも……。
「健人くん」
改まって、そう切り出してみれば頷いて先を促してくれる。
「健人くんには、幸せになってもらいたいんだ」
この先は、いつものパターンだって分かっているけれど、言わないわけにはいかない。
「楓ちゃん、ありがとう。それ以上は言わなくても分かってるし、俺の答えも変わらないよ」
そう言って遮られる。
(この家とサロンに縛られずに自由に、幸せになって欲しい)
毎回するこのやりとりは、もう何年も平行線のまま。
「楓ちゃんはそんな事気にしないで」
そうやっていつも子供扱いしてくるのに。
「……分かった」
何1つ納得してないけれど、優しい健人くんが絶対に譲らないのだから、こちらが引くしかなくて。
気を取り直して、温かい紅茶を一口飲む。
はちみつの優しい甘さと、紅茶の華やかな香りが口内に広がって、思わずため息が出る。
「楓ちゃん、みかん好きだったよね」
そう言って昔のままの笑顔で優しく包み込んでくれる。
こうしていると、本当に温かい気持ちになって。
「覚えてくれてたんだ」
泣きそうになりながら、お礼を言って。
この温かい時間は、あの辛い出来事を乗り越えようとしていた時期には本当にありがたかった。
……でも……。
「健人くん」
改まって、そう切り出してみれば頷いて先を促してくれる。
「健人くんには、幸せになってもらいたいんだ」
この先は、いつものパターンだって分かっているけれど、言わないわけにはいかない。
「楓ちゃん、ありがとう。それ以上は言わなくても分かってるし、俺の答えも変わらないよ」
そう言って遮られる。
(この家とサロンに縛られずに自由に、幸せになって欲しい)
毎回するこのやりとりは、もう何年も平行線のまま。
「楓ちゃんはそんな事気にしないで」
そうやっていつも子供扱いしてくるのに。
「……分かった」
何1つ納得してないけれど、優しい健人くんが絶対に譲らないのだから、こちらが引くしかなくて。
気を取り直して、温かい紅茶を一口飲む。
はちみつの優しい甘さと、紅茶の華やかな香りが口内に広がって、思わずため息が出る。