Bella Notte
 ここからは本当に戦争の様な機内だと言うのに。思い切り出鼻をくじかれた感がした。

 藤ちゃんは意味深なウィンクを残してコックピットへ消えていった。

 (え?何で?)

 考えても答えの出ない疑問はとりあえず置いておいて、ギャレーへ向かうことにした。

 ルーティーン業務をそつ無くこなしながらお客様をお迎えする準備を整えていく頃には、心がすっかりと落ち着いていた。

 本日のフライト先はフランスのパリ。
 やっと仕事が終わって、ホテルに着いたのがさっき。

 軽くシャワーする前に、CAメイクを早く落としたくて、ポーチからメイク落としとスキンケア用品を取り出す。

 するとスマートフォンの通知音が鳴って、画面を見やった。

『岡山さん、今日はお疲れ様でした……』

 今日一緒に飛んだクルーからのメッセージ。
 お食事のお誘いかな、と画面をタップしてみた。

『実は副操縦士の藤田さんに、岡山さんの連絡先を聞かれて。教えちゃったんだけど』

 はぁ……何か面倒な事になりそうだ。
 知り合いだって知られたら、彼を狙うCAや地上のグランドスタッフ、その他もろもろから色々と質問攻めにされそうだ、とうんざりした。

 『あ。そうなんですね、報告ありがとうございます、仕事で何かあったのかな』

 とぼけたような返信をしておいたけれど、帰りのフライトで絶対に何か言われるよな、とため息が出る。

< 117 / 196 >

この作品をシェア

pagetop