Bella Notte
「でも今は、アリスの事を一番愛してるし私の全てだから。あの頃の事はもう思い出かな」
 そう言って笑うハルはもう立派な一人前の大人で。
 素直に美しいな、と思った。

(でも、初恋って言われてもそんな嫌じゃないかも。ハルはハルだし)

 「文乃から聞いたよ。楓と桜井が大変だって」
 そう言って真剣な眼差しに変わった。
 「大丈夫、もう解決したから」

 その言葉に2人は顔を見合わせて。
 「楓、それって桜井の側から離れたから大丈夫って事?」
 そうだと頷こうとしたけれど……。
 「うん、私もそれから桜井も色々考えての今だよ。だから、2人にも分かってほしい」

 しばらく重い沈黙が広がって。
 「そう……分かった」
 一言、ハルが呟いた。

 それからは、桜井との事には触れてこなくて。
 婚約者の話、結婚式の話題に花が咲く。
 「結婚式は、小さいけど温かい式にしようかと思って。鎌倉の洋館ウエディングを予定しているんだ。大きな木の下で誓いの言葉を交わして……」
 3人の話は尽きず夜は更けていく、すると。

 ハルがそろそろホテルへ戻らないと、とお開きを宣言して。
 文乃は泊っていけばと誘ってくれたので、今日は甘える事にして。

 エントランスまでハルを見送ってから、文乃と二人でエレベーターの中。
 ふいに文乃が。
 
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