Bella Notte
 (良かったね、ハル)
 フラワーシャワーをたくさん浴びながら腕を組んでバージンロードを歩くその横顔を見た時ハルが私にウインクをしてくれて。
 
 『楓、次はあなただよ』
 口元はそう言っていた。

 ウエディングパーティーは、美しい夕暮れ時からスタート。
 日本式の型にはまったものではなく、アットホームな風景が広がる。

 ハルとアリスはスレンダーラインのシンプルなミカドシルクのロングドレスを纏っていて。
 会場はスタイリッシュなのに温かみのある装飾で。

 「何か、ハルらしいね」
 円卓の隣の席に座る文乃へ言うと、少し涙ぐみながら頷いてくれる。
 同じ卓には健人君もいて。

 「素敵な式だったんだって?間に合わなくて残念」
 そう言って幸せそうに笑ってくれる。

 それぞれの友人、家族がスピーチを繰り広げる。

 パーティーには、ハルの両親がもちろん来ていて、お父さんがスピーチを始める。

 「遙が生まれた日、春だというのに寒くて。生まれたてのその顔を見た瞬間死ぬまで大切に守りたいと思いました。
 でもそれは、間違いだったと気づいたのです。
 遙が自分の性的マイノリティーを打ち明けてくれた時、どれだけ勇気が必要だったか。
 そしてそれはとても強く、自分の足で人生を歩いて行くのだと必死で訴えてくれた。

 本当に優しくて強い子で私たちの誇りです。

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