Bella Notte
 私たちにできるのは、寄り添い見守ることだけ。
 それでも、ここまで歩いて、アリスという素敵な伴侶を得る事ができた」

 そこまで話すと、ハンカチで目元を拭うハルのお父さんとお母さん。

「すみません、今日はおめでたい日だから、泣くつもりはなかったのですが」
 暖かい拍手が広がり。
 
「ありがとうございます。
 遙、おめでとう。この場にいる全ての人達は2人の幸せを祝福して祈ってくれている。
 それを忘れずに、遙らしく生きていってくれ。
 アリスさん、不束な娘ですがどうぞ末長くよろしくお願いします」

 そう言って締めくくられたスピーチにはいつまでも暖かな拍手が送られて。
 ハルがアリスと2人でお父さんとお母さんの元へ駆け寄って、2人にハグをする。

 幸せが溢れる瞬間、涙も溢れる。

 「楓、はい」
 
 背後からものすごく聞き覚えのあるバリトンボイス。
 大きな手に、いつかみたいに真っ白なハンカチが握られて差し出される。

 健人君が悪戯に笑って。
 「王子様登場、だね」
 文乃が涙を流している。
 「拗らせ王子だよ、本当」
 そう言って文句を言いつつ。

 私は振り向けないでいる。

「楓、俺はそれでも一緒にいたい」
 心臓を掴まれた様に煩い。

 振り向いた瞬間に思い切り抱きしめられて。
 周りは暖かな視線と拍手。

(や、今日の主役……)
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