Bella Notte
 上がる吐息が甘くて、乱れる姿を見せるのが恥ずかしくて。

 「可愛い、もっと見せて」
 そう言って、左手をそっと口元へ持っていき優しくキスをする。

 刻まれるリズムはだんだんと意識を彼方へ連れていく。
 何度も、何度も。

 朝日が天窓から差し込む頃、意識を手放すまで繰り返し。

 「……愛してる」
 桜井の、優斗の優しい囁きを聞きながら。

 ―――― 気がついたのは、日がもう傾きかける午後、隣りにはぐっすりと眠る優斗がいる。
(やっぱり寝顔は変わらないんだ)
 ふと笑みを浮かべて、そっと前髪へ触れる。

 喉が渇いたのでそっとベッドを抜け出し、カーペットに落ちている優斗のシャツを羽織り辺りを見回す。
 (ブカブカだ……こんなに体格差があるんだ……)

 ソファーのそばのテーブルにミネラルフォーターの入ったペットボトルがあるので、ソファーへ座り窓から見える海を眺めながら一口。

 昨夜の余韻で身体のあちこちが悲鳴を上げている。
(優斗、元気すぎだよ……いや、それだけ愛が深いって事……)

 ふと窓に映る自分が目に入る。
 髪は乱れて、男物のシャツ1枚羽織ってメイクは溶け切っていて。

(こんな姿見られなくない)
 それでもその瞳はまっすぐで、素直に好きだと思える。
 優斗が身じろぎ始めているのが分かって、目覚める前にせめてメイクを落としてしまおうとバスルームを探し当てた。

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