Bella Notte
 ラベンダー色のワンピースに白のメッシュカーディガンを羽織ってブランチへ出かける準備をする。

 そのままホテルのロビーを通りかかった時。
 「楓先輩、お疲れ様です」
 少し緊張した様子の、藤ちゃんがそこにいる。

 「藤田さん、お疲れ様です」
 会釈して通り過ぎようとする。
 「ブランチ一緒に行きませんか?」
 声をかけられるけど、警戒を解かずに見遣る。

 「最後に話しておきたいので、ダメですか?」
 そう言って、真っすぐに見つめられる。
(断ることができない……やっぱり甘いよね)

 ふと、警戒を解いた。
 「わかった、いいよ。海が見たいから、ビーチカフェでいい?」
 そう言うと、藤ちゃんは微笑んで頷いてくれる。

 しばらく緑豊かな景色を見て歩いていると、隣の藤ちゃんがふと笑う。
 「またこうやって一緒にいてくれるとは思いませんでした」

 ビーチカフェに到着して席に案内され、一通り注文を終えた。
 「楓先輩が辞めるって聞いて……正直ショックです」
 そう言ってやや俯きがちに話し出す藤ちゃんを見つめた。
 「もしかしてあの夜のキス……」

 そこまで言葉が続いた所で、やんわり否定する。
 「違うよ、私のキャリアのステップアップの為。藤ちゃんのせいとかではないから」
 そう言って笑うと、少しほっとしたようだった。

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