Bella Notte
 そう言ってお椀2つを盆にのせてこちらへやってくる姿は、いつもと変わらない。

「ありがとう、フライト後のみそ汁は本当に大好きなんだ」

 1口飲んで打ち震えていると、優斗が優しく見守ってくれる。

(私の大好きなものばかりだし)

 ここまで甘やかされたのは初めてかもしれない、そう思ってじっと見つめると。

「どういたしまして」

 極上の甘さの笑顔で応えてくれる。

「ねえ、優斗」

 居住まいを正して真っすぐに見つめた。

「結婚しない?」

 思わず口をついて出た言葉に、軽くお茶を吹く優斗。
 軽くせき込みながら。
 「えっ……なっ……」

 言葉にならない様子で、顔を赤くしてこちらを見てくる。

 「ずっと、考えてた。私はこれから海外へ行くし、優斗だって仕事がある。今すぐとかじゃなくて……」

 優斗が私の唇にそっと指先を当てて。

「楓、待って」

 そう言って、ポケットから小さな箱を取り出して、蓋を開ける。
 アクアマリンがあしらわれているプラチナの指輪が輝いていて。

「……これって……」

「俺から今日プロポーズしようと思ってたんだけど」

 照れた様子で笑っている顔は、すごく幸せそう。

「こうやって食卓を囲んで、一緒に生活して。特別な事は無くていい、ただ楓と共に生きていきたいんだ」

 その言葉に涙が溢れる。

「本当に?今日そのつもりだったの?」

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