Bella Notte
 住む場所をこれから探して、イギリスでの生活基盤を整えなくてはならない。

 不思議と不安はなく、これからの生活が楽しみという気持ちの方が大きかった。

 あのプロポーズから優斗は激務に次ぐ激務でほとんど会えていない。
 メッセージアプリで見送りに来ると言っていたけど、無理して欲しくなくて丁重にお断りした。

 ただその間に、公開告白のようなWEB記事がリリースされて驚きと喜びが入り混じり。
(隣にいてもいいって今はそう思えるから)

 SNSでは概ね祝福してくれる人達ばかりで、アンチと言われる人達の暗黒のつぶやきをかき消してくれていた。

 優斗と私が空港で繰り広げたワンシーンを感動したとSNSで拡散してくれているファンもいて。

 その効果なのか、優斗の仕事は前にも増して増えたようだ。
 手続きを終えて、大きな窓の側にある椅子へ座って空港の様々な人間模様を眺める。

 色々な人が行き交うその場所は、いつも大好きな場所だった。

 ふと、CAが列をなして颯爽と歩く姿が目に入って、退職した会社の制服が輝いて見えて。

(私もああして歩いてたんだよね)
 いざ、そこから離れてみると改めてカッコいいな、と思う。

 そっと目を閉じて気合を入れた。
(そろそろ搭乗口へ向かう時間だ)

 スマートフォンが音を上げる。
 『楓右側見て』

 久しぶりに連絡してきたと思ったら。
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