Bella Notte
 ふと桜井が誰かを探すようにチラチラと視線を彷徨わせる。

「あ、ハルは今日来られないよ」

 ニヤニヤして爆弾を盛大に投下してやる。
 途端にその麗しい顔が歪んで、赤くなる。

「念願だった外交官になって今はアメリカだもんね〜」

 追い討ちをかけてやれば。

「違うし。んで、長谷川(はせがわ)は?」

 慌てて否定して、話題を変えてくる。
 まぁおめでたい日にあまり虐めても可哀想か。とその話題に乗ることにした。

「あぁ、二次会からだって。何か仕事が立て込んでて今飛行機でこっちへ向かってるみたい」

 話題が逸れた事にホッとした様子の桜井。

「アイツが研究者なんてなぁ。今は新薬の開発だったっけ?」

 問いかけるのでうなずいて、桜井の手の中にあるシャンパングラスを奪って飲み干す。

「オイオイ、ったく酒癖は相変わらずか」

 呆れ顔で肩をすくめられる。
 大学時代に酒に強いと(おご)り、酒で失敗した事は何度かあった。

 その度に親友2人と桜井は見捨てず私を介抱してくれたものだ。

「桜井は最近どうなの?」

「オレ?相変わらず、レッスン、筋トレ、時々撮影。ありがたい事に仕事三昧」

 爽やかな笑顔で言うので思わず吹き出してしまう。

「ごめっ、えっと遊ぶ暇は?」

 と言えば、鼻で笑われ。

「ゴシップ狙われてるから、大人しくしてんの。モデルも中々辛いんだよ」

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