Bella Notte
「さっき告白したら、俺もお前が好きだって」

 すると友達らしき数人から歓声が上がり、興奮気味に話が盛り上がっている。
 そのままやり過ごしていると、彼女達の声は段々と遠ざかっていった。

 胸の中に鉛が沈んだみたい。
 重くて、苦しい。

 桜井は私が胸を押し返すと、抱きしめていた腕を緩めて静かに離れてくれた。
「桜井、もう、涙は止まったよ。大丈夫」

 そう言って何とか笑う。

「ごめんね。廃材、さっさと片付けよう」

 これ以上迷惑かけたくなくて、桜井と目も合わせずそそくさと目的地へ向かう。
 廃材置き場からの帰り道、沈黙が2人を包む。

 空を見上げてみれば、今にも降り出しそうな重く暗い雲が空いっぱいに広がっている。

 しばらく歩いていると、シトシトと降り出してきた。
 それでも走る気になれなくて。

「楓、早く校舎に着いた方が好きなもの奢って貰えるってのは?」

 不敵な笑顔をした桜井がいつもの調子で仕掛けてくる。

「いいよ。私だって足には自信があるしっ」

 言い終わらないうちに駆け出す。
 後ろで卑怯だと桜井が叫んでるけれど、気にしない。

 走っているうちに、段々といつもの私に戻れている気がして。

 実行委員室に着く頃には、すっかり大丈夫。
 とはいかないけれど、誤魔化せた。

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