Bella Notte
 ――――「さっきの女の子、告白かな」

 みんなすごいな。
 好きな人に告白なんて、とても勇気のいる事だ。

 私は勇気が出なくて、井川君に気持ちを伝えることができなかった。
 多分この先も伝える事はないと思う。

 さっきまで桜井が座ってたイスに座り、窓辺に両手を添えて、その上に顔を乗せる。
 秋の乾いた少し冷たいとてもいい風が頬を掠めていく。

 風が髪を梳いて少しくすぐったい。窓の外からは笑い声と音楽、呼び込みの声と楽しそうな音がたくさん聞こえて来る。
 ここ、気持ちいいな。

 桜井が寝てしまうのも分かるかも。
 それにしても相変わらずヒマだ。

 桜井はあのまま戻ってこないのかな。
 目まぐるしく考えているはずなのに、気持ち良すぎてそのまま私は浅い夢の中へと落ちていく。


 どのくらい微睡んでいたのか分からない。
 誰かが私の頭を優しく撫でて、髪を梳いている。

 これは夢?それとも現実?
 分からないけど、とても幸せで気持ちいい。

 思わず笑ってしまう。

 
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