Bella Notte
 ―――― 本部に戻ると、楓が窓辺で寝てる。

 まあ、これだけ暇なら気持ちも分かるし正直昨日まで大変だったし。

 寝かせてあげたいけれど。
 人が来るかもしれないし、起こしに掛かろうと楓の側まで近づく。

 久しぶりに見る楓の寝顔。

 昔、夏休みに二人で昼寝して、楓の寝顔を見るのが何だか嬉しくて中々寝付けなかったっけ。

 相変わらずとても可愛い寝顔。

「無防備すぎ」

 気がつくと頭を優しく撫でてしまった。
 肩まである髪が日の光に輝いていて思わず指に絡めて梳いてしまう。

 もう一度髪を指に絡めて髪にキスを落とす。
 ここまで無意識にしてしまってから、慌てて手を引っ込める。

 一体オレは何がしたいんだ。

 起きたかと思って慌てたけど、楓は幸せそうに笑って寝てる。

 人の気も知らないで。

 オレの中の自分勝手な気持ちが顔を出し始める。

 自分の気持ちを告白する勇気もないくせに楓の気持ちが欲しいなんて都合が良すぎる。
 わかってるんだ。ただの我儘だと。

 さっきの子を少しも気にしてない楓が憎らしくなって、少し強めにデコピンしてやる。

「痛い」

 って涙目になりながら、抗議する姿がまた可愛い。
 思い切り笑ってしまう。

「悪魔め」

 何て悪態をつきながらも最後には笑ってくれる楓が本当に好きだ。

 
 
< 59 / 196 >

この作品をシェア

pagetop