Bella Notte
「事故に遭ってそれで、亡くなったって警察から連絡が。」

 私の記憶はここまでで、それからの事は良く覚えていない。

 気付いたら、自宅のベッドの上に寝ていた。
 泣いてるハルと辛そうな文乃が側にいて。

「楓。私達が側にいるから」

 そう言ってハルと文乃に抱きしめられる。
 大丈夫だよ。私、平気だよ。
 そう言いたいのに言葉がでてこない。

「まだしばらく寝てて大丈夫だから。健人さんと親戚の人達が全部してくれるって。」

 私は頷いて、ベッドへ横になる。
 気を失うように眠りにつき、次に気づいた時には辺りは静まり返り人の気配がしなかった。

 ベッドサイドの置き時計を見ると真夜中0時をさしている。

 そうだ。
 父さんと母さんを迎えに行かなくては。

 部屋着のまま起き出して熱帯夜で汗ばみ、張り付くパジャマを不快に感じながらすぐ側のサロンへ向かう。

 もしかしたら、健人君がいるかもしれない。
 サロンのドアを開けるとお父さんとお母さんがいる。

 良かった、あれは夢だったんだ。

(お父さん、お母さん)

 確かに声に出して言ったはずなのに、喋る事が出来ない。
 そのうち、2人は楓の横をすり抜け、そのまま車へ……。

(ダメ、行かないで)

「行かないで……」

 腕を思い切り伸ばした所で、暖かくて大きな手が優しく包み込むように私の掌を掬い取ってくれて。

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