Bella Notte
紺色のシャドウストライプのスリーピーススーツに赤いネクタイ。
一目で上質だと分かるその身なりに、磨き上げられた靴。
スーツの襟には、見覚えのある、金色のバッジ。
どう見ても、このオシャレなサロンに用はなさそうだけれど。
念のため確認を。
「こんにちは、ご予約のお客様ですか」
「いいえ、私弁護士の黒田勇と申します」
流れるような所作で、胸元のポケットから名刺入れを取り出して丁寧に名刺を差し出してくる。
「笹原英雄さんの婚約者西園寺麗香の代理人です。あなたが岡山楓さんでしょうか」
心臓が強く脈打つのが分かる。あの、元カレの……。
「あの、」
そこまで私が言葉を発すると。
「ここでは何ですから、向こうの自宅へどうぞ」
珍しく健人君が、氷点下の冷たい笑顔で有無を言わさずそう促す。
そして私の耳元でささやいた。
「おれが話そうか」
心配そうに見つめてくるけれど。
「ううん、大丈夫。健人君はお客様がもうすぐくるでしょ。何かあったら、文乃に電話するから」
ここで逃げてもどうにもならない。
相手は、私と話したいだろうし。
自宅へと案内する間の、気まずい沈黙の中。
ふと後ろからついてくる足音が止まり。
一目で上質だと分かるその身なりに、磨き上げられた靴。
スーツの襟には、見覚えのある、金色のバッジ。
どう見ても、このオシャレなサロンに用はなさそうだけれど。
念のため確認を。
「こんにちは、ご予約のお客様ですか」
「いいえ、私弁護士の黒田勇と申します」
流れるような所作で、胸元のポケットから名刺入れを取り出して丁寧に名刺を差し出してくる。
「笹原英雄さんの婚約者西園寺麗香の代理人です。あなたが岡山楓さんでしょうか」
心臓が強く脈打つのが分かる。あの、元カレの……。
「あの、」
そこまで私が言葉を発すると。
「ここでは何ですから、向こうの自宅へどうぞ」
珍しく健人君が、氷点下の冷たい笑顔で有無を言わさずそう促す。
そして私の耳元でささやいた。
「おれが話そうか」
心配そうに見つめてくるけれど。
「ううん、大丈夫。健人君はお客様がもうすぐくるでしょ。何かあったら、文乃に電話するから」
ここで逃げてもどうにもならない。
相手は、私と話したいだろうし。
自宅へと案内する間の、気まずい沈黙の中。
ふと後ろからついてくる足音が止まり。