ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─
第26話
水島と離れてから、俺の人生は一変した。
婚約破棄と結婚式のキャンセル。
志穂さんへの謝罪。
志穂さんの家族への謝罪、親戚への説明——
諸々の費用。
親からはほぼ勘当だった。
——全部、覚悟はしていた。
式場のキャンセル料だけで、数百万円。
全てを合わせると、俺の年収を超える金額になった。
けれど志穂さんは、「私が断ったことにする」と言った。
信じられなかった。
「私にだってプライドがあるんです」
それを言った時の表情は見るに耐えなかった。
結局、婚約破棄は”お互いのすれ違い”という体裁で片付いた。
でも俺は今回の事の全責任を負わないといけない。
あれから三年——
費用もすべて払い終わっていた。
志穂さんは別の誰かと結婚したと聞いた。
よかった、と思う反面——
複雑な気持ちもあった。
だけど、俺は水島に連絡をしなかった。
いや、できなかった。
全部が落ち着いてから……と思っていた。
だけどその”落ち着く”までの間に、自分の中の中途半端さが、
どれだけ多くの人を巻き込んだのかを思い知らされて、
——結局、何もできなかった。
俺は、贖罪として、このまま教師として生きていくと決めた。
自分勝手だけど、水島のことも諦める事にした。
だから水島との関係は、もう終わったんだと、自分に言い聞かせていた。
……なのに、実習生として、戻ってきた。
何となく分かってる。たぶん、まだ俺のことが好きなんだろう。
三年も放置したのに、あいつは俺の授業を見に来たり、こそこそ動いている。
バレないつもりらしいが、見ればすぐ分かる。
授業中、教室の後ろにちらっと見える影。
廊下の角から覗く視線。
あいつは、昔から隠すのが下手だった。
しかも本人は気づいていないが——
実習生の島田、教員の中山。
どちらも、あいつを狙ってるのが丸わかりだ。
島田は水島のいる場所を常に探している。
中山は、体育教師らしい気さくさで距離を縮めようとしている。
見ていて、イライラする。
……三週間、俺は正気でいられるのか。
水島が他の男と話している姿を見るたびに、
三年前の感情が蘇ってくる。
嫉妬、独占欲、そして——愛情。
結局、三年経っても変われなかった。
俺の心には、まだ水島がいる。
でも、今さら何を言えばいい?
俺には、水島に何かを言う資格はない。
ただ、この三週間を乗り切るだけだ。
水島の実習が終われば、また元の生活に戻る。
それまでの辛抱だ。
——そう思っていたのに。
職員室で、水島と目が合う瞬間がある。
廊下で、すれ違う時がある。
そのたびに、胸が締めつけられる。
やっぱり、俺は——
それを言葉にすると、また全てが元通りになってしまう。
婚約破棄と結婚式のキャンセル。
志穂さんへの謝罪。
志穂さんの家族への謝罪、親戚への説明——
諸々の費用。
親からはほぼ勘当だった。
——全部、覚悟はしていた。
式場のキャンセル料だけで、数百万円。
全てを合わせると、俺の年収を超える金額になった。
けれど志穂さんは、「私が断ったことにする」と言った。
信じられなかった。
「私にだってプライドがあるんです」
それを言った時の表情は見るに耐えなかった。
結局、婚約破棄は”お互いのすれ違い”という体裁で片付いた。
でも俺は今回の事の全責任を負わないといけない。
あれから三年——
費用もすべて払い終わっていた。
志穂さんは別の誰かと結婚したと聞いた。
よかった、と思う反面——
複雑な気持ちもあった。
だけど、俺は水島に連絡をしなかった。
いや、できなかった。
全部が落ち着いてから……と思っていた。
だけどその”落ち着く”までの間に、自分の中の中途半端さが、
どれだけ多くの人を巻き込んだのかを思い知らされて、
——結局、何もできなかった。
俺は、贖罪として、このまま教師として生きていくと決めた。
自分勝手だけど、水島のことも諦める事にした。
だから水島との関係は、もう終わったんだと、自分に言い聞かせていた。
……なのに、実習生として、戻ってきた。
何となく分かってる。たぶん、まだ俺のことが好きなんだろう。
三年も放置したのに、あいつは俺の授業を見に来たり、こそこそ動いている。
バレないつもりらしいが、見ればすぐ分かる。
授業中、教室の後ろにちらっと見える影。
廊下の角から覗く視線。
あいつは、昔から隠すのが下手だった。
しかも本人は気づいていないが——
実習生の島田、教員の中山。
どちらも、あいつを狙ってるのが丸わかりだ。
島田は水島のいる場所を常に探している。
中山は、体育教師らしい気さくさで距離を縮めようとしている。
見ていて、イライラする。
……三週間、俺は正気でいられるのか。
水島が他の男と話している姿を見るたびに、
三年前の感情が蘇ってくる。
嫉妬、独占欲、そして——愛情。
結局、三年経っても変われなかった。
俺の心には、まだ水島がいる。
でも、今さら何を言えばいい?
俺には、水島に何かを言う資格はない。
ただ、この三週間を乗り切るだけだ。
水島の実習が終われば、また元の生活に戻る。
それまでの辛抱だ。
——そう思っていたのに。
職員室で、水島と目が合う瞬間がある。
廊下で、すれ違う時がある。
そのたびに、胸が締めつけられる。
やっぱり、俺は——
それを言葉にすると、また全てが元通りになってしまう。