ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─

第27話

 その日は学校の先生や職員の人達の飲み会だった。
 私たち実習生も参加させてもらって、先生と少し離れた席に座った。

 確か、前先生が具合が悪くて(うずくま)っていたのは、ここの近くだったような。
 いつも突然現れるから怖かったけど、偶然だったのを聞いて少し安心した。
 本当はわからないけど。

 先生の姿が見えるだけで嬉しい。頬が緩んでしまう。

 すると、島田くんが話しかけてきた。

「水島さんが俺のこと覚えてなかったの、ちょっとショック……」

 ビールを飲みながら、少し寂しそうに呟く。

 ——正直、覚えていなかった。

 クラスも違ったし、私は先生しか見えていなかった。

「実習終わったら、どこか遊びに行こう?」
「うーん。そうだね……考えておくよ」

 そのとき、夏雄先生が突然、私と島田くんの間に割って座ってきた。

「水島、お前、最近どうなの?」

 ——目が、まったく笑っていない。

「えーと……楽しいですよ!」

 先生はそのままその席に居座った。
 島田君は気を遣って離れて行った。

 先生が隣にいるのが嬉しくて、私はビールを飲みすぎた。

「先生〜好きなんです……好き……」

 酔った勢いで、気持ちを口走ってしまう。
 先生が慌てて私の口を押さえた。

 頭がくらくらする。
 腕を絡ませようとしたら、逃げられた。

 ……ひどい。
 なんで逃げるの?
 悲しくて泣いてしまった。

「先生、もう私の事なんてどうでもいいんですね」

 先生は仕方なく、私を外に連れ出した。

「お前、他のやつらが見てる前で何やってんだ!」
「すみません……」

 だって、近くにいたら気持ちが抑えられない。

 先生は誰かに電話をしていた。
 そして私を車に乗せた。

「まだ帰りたくないです!」
「ダメだ。お前、酔いすぎてる」

 先生は車を走らせた。
 そのあと、途中で車を停めて静かに言った。

「もう他のやつらの前で絶対に言うな」
「はい……わかりました」

 頭では理解してる。
 今のは酔った勢いで言ってしまった。

 でも──

「会いたかったんです。ずっと……」

 先生は黙っていた。

「先生はどう思ってるかわかりませんけど」

 まだ頭がハッキリしていない。

「私には、先生を忘れる事は……なかった事にするのはできませんでした」

 ──その後の記憶はなかった。

 ただ、家に戻ってお風呂に入ったとき、 知らない痕が体にたくさん残っていた。
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