ダイヤの首輪─先生の歪んだ愛に囚われて─
 まだ私が生徒だった頃——

 ある日、私が職員室にプリントを取りに行った時のことを思い出した。

 先生が他の教師たちと楽しそうに会話をしていた。
 みんなで何かの話で盛り上がって、先生も笑っていた。

 でも、その直後。

 他の先生たちがそれぞれの仕事に戻った瞬間、先生の表情が一変した。
 まるで仮面を外したように、急に虚ろな瞳になった。

 その瞬間を、私はたまたま見てしまった。
 あまりにも印象的で、ずっと心に残っていた。

 あの時の先生の目は、今思えば——
 今の先生と同じだった。

 何かを探しているような、満たされない何かを求めているような、そんな目。
 次に先生と会った時、自分がどうなってしまうのか考えると怖い。

 また、あの目で見られたら?
 また、あんな風に近づかれたら?
 私は、きっと逃げられない。

 でも、それ以上に怖いのは——

 私が、それを望んでしまうかもしれないということ。
 先生の危険な魅力に、完全に心を奪われてしまうかもしれないということ。

 ——もう学校には行かない。

 そう決めた。

 これ以上関わったら、きっと取り返しのつかないことになる。
 普通の大学生として、普通の恋をして、普通の人生を送ろう。
 先生のことは、忘れよう。

 そう心に誓ったのに——

 なぜか、胸の奥が痛んだ。
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