疎まれ令嬢の一途な政略婚
四章
「浩晴様なら奥様と心寧ちゃんを連れて、一泊のご旅行に行かれましたよ。もしかして、ご存知なかったんですか?」
「そうだったんですね、どうもありがとうございます」
瀬戸口さんとお会いする約束の日の朝、挨拶をしていこうと離れにある兄の書斎を訪れたのだけど。まさかこの日に家族旅行をするなんて、そんな話は聞いていなかった。
これがたまたまなのか狙ってのことなのかは分からないけれど、やっぱり何か引っかかるものを感じて。どうしようかと、悩んでいると鞄の中のスマホが震えた。
『俺たちは家族旅行中だから、何かあった場合はメッセージを送れ。絶対に電話はしてくるな』
タイミング良く兄からのメッセージが送られてきたので『分かりました』とだけ返す。電話をされると兄にとっては、何か不都合があるのかもしれない。
けれど余計な詮索はせずに、自分の部屋に戻り準備を済ませて屋敷を出た。
駅で待ち合わせだというのは分かっているが、駅のどの辺かも聞いておけばよかったかもしれない。連絡先の書いてある名刺は、家に置いてきてしまったし。
普段は来ることのない駅という事もあって、待ち合わせに使われていそうな所が分からない。困ったなと思いながら、しばらく辺りをうろつくが瀬戸口さんらしき人物は見当たらなくて。
そうこうしている間に、待ち合わせの時間を十分も過ぎてどうしようかと焦っていると……