傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
これでは、学校から請求される雑費も支払えない。

これからの受験シーズン、なにかとお金もかかってくる。


だから、わたしは自ら退学届けを提出した。


学校を辞めれば、バイトの時間も増やすことができる。

それに、名取くんと学校で顔を会わせなくて済むのなら――。


そうして、わたしは夏休みの間に高校を中退し、この8年間フリーターとしてなんとかやってきのだった。


そんなわたしと違って、久々に会った名取くんは立ち居振る舞いすべてに品があり、あの頃よりもさらに余裕を感じさせられる男性になっていた。


「あの、大丈夫ですか?」


名取くんの呼びかけに、はっとして我に返った。

つい昔のことを思い出していたら、タクシーに乗り込んだままぼうっとしていた。


「だ、大丈夫です…!」


わたしは髪で顔を隠しながら、ペコペコとお辞儀をした。


「お客さん、行き先は?」

「えっと…」


そうして、自動でドアが閉まろうとしたときだった。


「ちょっと待って…!もしかして、み――」


声を遮りパタンと閉まったドアの向こうで、名取くんはその場から動けずにいた。

まっすぐに見つめてくる名取くんと目が合って、わたしは慌ててうつむいた。
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