傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「ああ、たしかにっ」


こんな会話は日常茶飯事。


愛理さんは、超名門校の音大に通っている大学1年生。

同じお父さんの娘とはいえ、学歴の差は天と地。


愛理さんは、これからも挫折や苦労を知ることもなく順風満帆な人生を歩むのだろう。

そんな眩しすぎる人生は、わたしにとっては非現実的すぎて妬みすら起こらない。


残っていた借金はお父さんが肩代わりしてくれて、返済額を差し引いた分のお給料を毎月支払われる仕組みとなっている。

それでもお父さんから提示された金額は、前の職場の手取りよりも多くて驚いた。


これでヤミ金業者から追われる心配はなくなり、お金に悩まされる毎日から解放された。


追い出されない限り、いびられようと罵られようと、わたしはただここで細々と暮らしていけばいい。


そう思っていた。

まさか、わたしの人生を大きく変える出来事が訪れようとしていることも知らないで――。



わたしが富士川家へきて1ヶ月がたった。

今日は、富士川電機の大口顧客である企業主催の親睦会のパーティーに招待されていた。


社長のご長男が先月、グループ会社のニューヨーク支社からの異動で帰国されたそうで、次期後継者としての挨拶も兼ねているのだそう。
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