傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
名取くんに気づかれると思い、とっさに顔を背ける。


「田沼社長、あなたもなにをボサッとされているのですか。そこ、通していただけますか」


名取くんは田沼さんを押しのけると、しゃがみ込んでそっとわたしの肩に手を添えた。


「ひとまずこの場を離れましょう。…立てますか?」

「…だ、大丈夫です…。わたしのことはお気になさらず――」

「そうはいきません。少し失礼します」


名取くんはそう言うと、ふわりとわたしの体を持ち上げた。


「…きゃっ」


わたしから小さな悲鳴がもれる。

突然のお姫さま抱っこに注目を浴び、わたしは顔から火が出る思いだった。


「…あのっ、名取結弦さんですよね!」


名取くんの登場に、頬をほんのり赤く染めた愛理さんが話しかける。


「そうですが、なにか」

「その人はひとりで大丈夫ですよ。なので、もしよかったらあたしといっしょに――」

「申し訳ございませんが、今はあなたとお話ししている暇はありません。僕は一旦ここで失礼します」


名取くんは愛理さんの誘いを断ると、わたしを抱えたままパーティー会場をあとにしたのだった。
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