傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
「名取くん…、なんで…」

「それはこっちのセリフだ!傘もささずに、こんなところでなにやってるんだよ…!」


名取くんはハンカチを取り出すと、わたしの濡れた髪を拭っていく。


どうして、名取くんはわたしが必要としているときにいつも現れるのだろうか。

どうして、名取くんはそのときわたしがほしい言葉をかけてくれるのだろうか。


「名取くん…。わたし…、わたしっ…」


名取くんの顔を見たとたん、奥底から様々な思いが溢れ出して、わたしは声を上げて泣いてしまった。

そんなわたしを名取くんはなにも言わずに抱きしめた。



「ココアを淹れたから。温かいうちに飲むといいよ」


そう言って、名取くんはテーブルの上にマグカップを置いた。

というのも、今わたしは名取くんの家にお邪魔している。


雨の中、横断歩道の前で呆然としていたわたしを、たまたま車で通りかかった名取くんが見つけてくれた。

そうして、わたしを車に乗せて自分のマンションに連れてきてくれたのだ。


風邪を引くといけないからと、すぐにシャワーを貸してくれて、わたしにはブカブカすぎるくらいの名取くんの部屋着に着替えてリビングに戻ってきた。
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