傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
愛理さんは声高らかに笑うが、名取くんは真剣な表情を崩さない。


「愛理さん、彼女はすでに結婚しているよ」

「え…?澪さんが…結婚?」

「ああ」


そう言って、名取くんはお父さんの前へとゆっくりと歩み寄った。


「富士川社長、ご挨拶が遅くなってしまい大変申し訳ございません。実は、澪さんと僕はすでに婚姻関係にあります」


突然の名取くんの告白に、一瞬病室の中がしんと静まり返った。

だれもがそれを理解できず、口をぽかんと開けている。


「は…い?結弦くん、今…なんと?」

「ですから、澪さんは僕の妻で、お腹の子の父親は僕です」

「なっ…名取くん…!!」


名取くんは、お父さんたちとわたしとの間に壁になるようにして立ちふさがる。


「…ちょっと待ってくれ、結弦くん。急になにを言い出すんだ。そもそも、澪と君はただの同級生なだけで――」

「澪さんは、高校時代の僕の恋人でした。別れてからもずっと忘れられなくて、パーティーで再会したのをきっかけに、僕がアプローチしていました」


名取くんは包み隠さずすべてを打ち明ける。


「…うそ。澪さんと結弦さんが…?じゃあ、結婚を考えている高校生のときから好きな人っていうのは…」
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