傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
今だって大切にしてくれているけど、それはお腹の子のため。

わたしに対してじゃない…。



わたしは数日かけて徐々に体調がよくなり、明日退院できることとなった。

その日、仕事の合間を見つけて名取くんがお見舞いにきてくれた。


名取くんの顔を見られて…うれしいはずなのに。

わたしは素直に喜ぶことができなかった。


「澪、すっかり顔色もよくなってよかった。…でも、まだどこか体調が悪い?」

「…え?」


名取くんは心配そうにわたしの顔を覗き込む。


「だって、なんだかつらそうな顔をしてるから」


いつも通りに振る舞っていたのに、名取くんはわたしの些細な変化に敏感に気づいてくれる。


「ううん、そんなことないよ」


しかし、わたしはにこりと笑ってみせた。


「そっか。俺の気のせいならいいんだけど…」

「それよりも、明日はわたしひとりで帰れるから、わざわざこなくても大丈夫だよ」

「そうはいかないよ。それに、仕事も休みにしたから。11時に迎えにこればいい?」

「ありがとう。そういうことならお言葉に甘えようかな。11時に、お願いね」


わたしはあえて復唱した。

名取くんには、11時にきてほしいから。
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