傷だらけのシンデレラ 〜再会した元恋人は溢れる愛を押さえきれない〜
そして、次の日。

わたしは早々に荷物をまとめ、退院の支度をしていた。


忘れ物がないかのチェックを終えたあと、床頭台にあるものを置いた。

それは、わたしの名前が記入された離婚届。


考えてみたら、やはり名取くんのそばにいるべきではなかった。

遅かれ早かれ、結婚は公にしなければならないだろうし、その前に子どもの存在を嗅ぎつけられたら隠し子疑惑を持たれてもおかしくない。


わたしはなんと言われても構わない。

だけど、名取くんは違う。


彼のイメージに傷をつけてはいけないんだ。


それにわたしが名取くんと婚姻関係にある以上、お父さんはそこに付け入り、ナトリホールディングスとこれでもかというほどに繋がりを持とうとするだろう。

この子の存在を武器にして。


だから、すべての関係を断ち切るには、名取くんと離婚し、わたしが姿を消すしかない。


時計に目を移すと、ちょうど10時だった。


名取くんはまだあと1時間は病院へはこない。

行方をくらませるには十分な時間だった。


最後にわたしは、首につけていたネックレスを外して婚姻届の上に置いた。


高校生のときに名取くんからもらって以来、ずっと大事にしていた星のトップのネックレス。
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