13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
 その賢吾の後ろから、タイミング良く美澪の食事も運び込まれる。

「海堂先生、ここにいらしたんですね」
「特に急用もないからな」
「今のうちに昼休憩取っといてくださいね。午後から手術でしょう?」
 少し年配のナースが海堂に声をかける。
「そうだな。まぁ、今日は難しい手術じゃないし、ほぼ見学させてもらうだけだ」
 手術は二時からだと続けた。
「今日は二人と一緒に食事にしようと思っているんだ」
「あらあら、先生が? 運びましょうか?」
「そうしてくれると助かる」

 ナースが退室すると、海堂は立ち上がり賢吾に挨拶をした。
「担当医の海堂だ」
「俺は美澪の……。乙部の同僚で田崎賢吾と申します。この度はお世話になります」
 賢吾も担当医が自分と同年代のイケメン医師とは想像もしていなかったようで、驚いたのか少し早口になっていた。
 慌てて名刺を取り出し、深くお辞儀をしながら手渡した。
 海堂に促され椅子に座ると、美澪に『間を取り持って』と視線で訴えてくる。
 助けを求められても美澪もどうすればいいのか分からない。

 海堂は特に気にせず会社の様子を賢吾に訊ねた。
 賢吾は気まずそうに海堂から視線を逸らして話し始めた。
「はっきり言って、うちの会社……というか、俺たちが所属している課は雰囲気が最悪なんです。課長のパワハラが慢性化してて。新人は入ってこないし、来てもすぐに辞めてしまいます。だから、辞めるって言えない俺や……特に美澪は格好の餌食なんですよね。逆らったりしないから」
「もっと上の人に相談はできないのか」
「それが出来ればいいのですが」
 賢吾が歯切れ悪く答える。
 
「何かと圧が強くて……ねぇ」美澪も同調し、二人揃ってため息を吐いた。
「他の部署への移動願いは出しているのですが、それも受理されないと思います。本当に、笑っちゃいますよね。健康器具や食品を扱う会社なのに、社員が不健康なんですもん」
 話せば話すほど、美澪と賢吾が顔色を失っていくものだから、さすがの海堂も仕切り直した。

「二人は同期と聞いたが」
「そうなんです。最初は面接の日に出会いました。とは言っても、その時は一言二言挨拶を交わしただけで、入社式の時に偶々近くに座ってるのに俺が気付いて声をかけました。同じ部署に配属になったのもあり、仲良くなったのはそれからです」
「もっと以前からの友人なのかと思ったが違うんだな」
「お互い遠慮がないから一緒にいて楽なんですよね。仕事でもプライベートでもボロボロの状態を見せ合ってるからカッコつけなくていいって言うか」
 仕事でこき使われてへとへとになりながら仮眠室で爆睡したり、一緒に飲みに行って二人して酔い潰れたこともあった。
 本当に、裸以外の全てを知っているんじゃないかと思うほど、賢吾には曝け出している。
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