13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
 沈黙が流れる。
 さっさと出ていって欲しいと思っていると、綾瀬が食事を運んで戻ってきてくれた。
「遅くなってすみません。食べられそうですか? ベッド起こしますね」
 綾瀬と交代するように、海堂は部屋から出て行った。背中に「べーっ」と舌を出したくもなる。

「あの先生って、いつもあんなに冷たいんですか?」
 綾瀬に訊ねたが、綾瀬は目を丸くして美澪を見た。
「海堂先生ですか? いつも優しいですよ」
「嘘だ。じゃあ私が何か嫌われることでもしたのかな。たかが過労で個室を三日も陣取ったから怒ってるとか?」
「たかが過労って……命に関わることですよ!?」
「でも……」
 それにしても、こんな広い個室なんて……。正直、1Kのアパートよりも広く感じる。

「あの……大部屋って空きはないんですか?」
 早くも支払いの心配をしてしまう。
 普段、遊ぶ暇もないから給料は最低限しか使わない。けれども、自分の入院費に多額のお金を使っている場合ではないのだ。
 しかし綾瀬は首を横に振った。
 満床か……。
「で、でも、もう明日には帰れますよね?」
「それはまた明日、海堂先生に訊いてください」
 げっ……と漏れそうになったのを何とか耐えた。

 あの人を蔑む顔を思い出すだけでストレスが溜まる。
「良い先生ですよ」
 美澪の表情を見て、綾瀬は哄笑しながら言った。
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