13年後に再会した幼馴染と愛され生活始めます。
 海堂の声で目を覚ますと、目の前に顔があって爆発するかと思った。
 悲鳴を上げなかったのを誰か褒めて欲しい。
「口、半開きで心地良さそうだったな」
 片方だけの口角を上げ、意地悪な笑みを浮かべる。どうやらカーテンは海堂が開けたらしい。大きな窓から目を眇めるほどの光が差し込む。
 朝日に照らされた美澪の寝顔は、さぞ面白かっただろう。
 
 慌てて口を閉じ、手櫛で髪を梳かす。
「おかげさまで、今直ぐにでも帰られそうです。退院はいつですか?」
 可愛くない言い方をしてしまうが、自分でも止められない。
「ここの居心地はそんな早く帰りたいほど悪いか?」
「そうではありません。仕事に戻らないと、クビになっちゃうので」
「じゃあ、それで良いじゃないか」
「じゃあ……って、簡単に言わないでください。あっ……」
 あまりの言い草に、体を起こそうとして酷い眩暈に襲われた。

 倒れそうになったところを海堂に支えられる。
 ぐっと体を寄せられ、反射的にドキリとしてしまった自分に嫌気がさす。
「ほら、まだ回復してないじゃないか。そうだな、あと三日は療養が必要そうだ」
「帰って寝ていれば大丈夫です」
「帰れば仕事に行くだろう?」
「そ……んなこと……」ある。
 頭の中は課長に支配されている。胃がキリキリと痛い。
 無意識に手が震えていた。
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