色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 トペニによれば、ここはスペンサー侯爵家の敷地内なので。
 家の前に護衛が立つというのは失礼にあたるらしい。
 何で? という表情をすると。
「安全だと謳われるスペンサー侯爵家なのに、護衛が外で立っていたら安全じゃないって言っているようなもんじゃねえか。それぞれの領地にはそれぞれのルールがあるんだ」
「・・・へえー」
 とトペニの言葉に頷いたが。
 さっきの失礼極まりない騎士の3人が頭をよぎった。

「ほんっと…蘭殿下の関係者は…」
 どさっと淑女らしくない動作でソファーに座った。

「トペニ様もスズメ様も、お仕事でしょうが少しは楽に過ごされませ。お部屋のご用意が出来ました」
 姿を現したバニラに、スズメは「はいっ!」と見当はずれの声を出す。
「そっか…トペニとスズメも一緒に暮らすのか」
「おおおお、恐れ入ります! 嫌でしたら、自分は野宿します」
 一体、何を緊張しているのだろう。
 冷めた目でスズメを見てしまう。
「パイセン、野宿なんかしたらスペンサー家からの風当たりが強くなるからやめた方がいいよー。結果的にマヒ…エアー姫が酷い目に遭うんだから」
 トペニが言うと、スズメが「ひぃ!」と言って頭を下げてくる。

「まあ、普段からみんな働きづめだからねえ。これを機会にゆっくりして」
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