色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 開口一番、ゴリラ男は90度近く頭を下げた。
 後ろには不満げな表情を浮かべた青髪男と美人さんが立っている。

 私は外に出て、玄関のドアを思いっきり閉めた。
「まさか、王家に関係のある方だとは露知らず…まさか国家騎士が・・・」
 言っていることが支離滅裂だが。
 反省しているというのだけは伝わってきた。
「スペンサー侯爵に確認を取ったということですか?」
「いいえ。それは、まだなんですが・・・」
 ゴリラ男の目が泳いでいる。
 私が何故? と声を張って言うと。
 ゴリラ男は私の顔を見てまた頭を下げた。
「申し訳ありません。侯爵には黙っていてください!」
「…なにそれ」
 ゴリラ男の身勝手な発言にイライラがピークに達する。
「こちらで出来ることは何でもします。ですから、お願いします」

 はあ…とゴリラ男に聞こえるようにため息をついた。
 後ろに立っている青髪男と美人を見る。
「あなた達は謝らないわけ?」
 青髪男と目が合うと不満な態度を露わにした。

「おばちゃんが怪しいのが悪い!」

 本当にこの態度は・・・
 頭を下げていたゴリラ男が「おい、ハガネ!」と後ろを向いて青髪男を注意した。
 もう一度ため息をついて。
 今度は美形の男を見た。
 美形の男が目と目が合うと。
「すいやせん」
 と聞こえるか聞こえないくらいの音量で言った。

「あのね。もし、立派な騎士になりたいと言うのなら今のままじゃ駄目だからね」
 すぅ…と鼻から空気を吸い込む。
「騎士は強ければいいってわけじゃない。騎士は人を守るのも仕事でしょ。何、その態度? 貴族と関わることだってあるでしょう。人との接し方だって勉強したほうがいい。言葉遣いにも気をつけたほうがいい。ちょっとのミスが命取りになるなんて、国家騎士じゃ当たり前」
 一気に喋ったせいか、最後は咳き込んでしまった。
 3人はぽかんとしてこっちを見ていた。
「おばちゃん、俺別に国家騎士じゃねえし。強けりゃいいし」
 ガハハハと笑った青髪男は「うける~」と言って。
 私を指さして笑った。
 怒りを通り越して。私は、呆れたのだった。
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