色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
 急に大声を出したかと思うと。
 男は頭を下げた。

「えーと。どういうこと? 昨日の今日でどうしたの?」
「俺は国家騎士になりたい。国家騎士になるためなら努力は惜しまない。だから、極意を教えてほしい」
「……」
 急に何を言っているのだ。
 唐突な発言は、混乱と恐怖を呼んだ。
 目の前にいるのは、あの蘭殿下の実家の騎士だ。
 そう…とんでもない悪の心をもったに違いない騎士のはずなのに。
 なにを言っているのか。
「極意っていうのは、教えを乞うってこと?」
「俺は国家騎士になる。だから、どうすればいいのか教えてくれ」
「…だから。えー」
 私が昨日、注意したのが悪かったのか。
 国家騎士になるための極意ってなんだよ。

 えーと…と言って。
 頭をフル回転させる。
「えーと。教えるにしても何にしても。上司に許可いるんじゃないの?」
「あっ・・・」
 男はしまったという表情を浮かべて。
 どこかへと走り去った。
 ただ、1分ほどで誰かを連れて戻って来た。

「俺の指導者っす」
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