色褪せて、着色して。~黒薔薇編~
次から次へと。
どうして、スペンサー侯爵家の人間は身勝手に…一方的に話すのだろう。
混乱して黙っていると。
「君は先に戻っていなさい」
と、老人…エアー氏が美形の男を帰らせた。
「えーと…立ち話もなんですから。中へどうぞ」
「…私が入って大丈夫でしょうか」
「大丈夫です。不敬罪だなんて言いませんよ」
私は玄関の扉を開けると大声で「バニラ―、お客さん!」と言った。
ダイニングルームに老人を招き入れ。
ソファーに座ってもらった。
すぐさま、バニラが紅茶と焼き菓子を目の前に差し出す。
「改めまして。私は、スペンサー侯爵家直属の騎士育成学校で教師をしていますエースと言います」
ぺこりとエース氏が頭を下げた。
今まで出会ってきたスペンサー侯爵家の中で。
いっちばんまともな人だと感じる。
「わたくしは、スペンサー侯爵家の客人・・・エアーです。ごめんなさい。事情があって素顔を見せることが出来ないのです」
「ほほほ。大丈夫ですぞ。ベールを見ていると、ある方を思い出させますなあ」
ある方…。
スペンサー侯爵夫人は「カレンを思い出す」と言っていたけど。
昔、カレン様も顔を隠して生きていたということだろうか。
「さて。本題ですが、エアー様」
「はい」
「さっきの彼はナオミといいまして」
「ナオミ?」
見た目が女性ぽいとは思っていたが、女性だったのだろうか。
「ほほほ。見た目も名前も女性らしいですが、男です」
心の中を読み取ったのだろうか。
おじいさん…ことエース様が説明してくれた。
「彼は私の生徒でしてな」
「えっ!?」
生徒という言葉に私は飛び跳ねてしまった。
「彼は、スペンサー家の騎士ではないのですか?」
「いいえ。まだ、15歳の右も左もわからない騎士見習いです」
「ええー」
身長は180cm近くあった。
あれだけの落ち着きようで無礼な態度。
15歳といえば、カイくんたちと同じ年齢ではないか。
「彼は実力はあるのですが、なにぶん態度がまだまだでして」
「…なるほど」
15歳の騎士見習い・・・生徒と言われて。
ようやく納得した。
いや、納得しても人間として失礼であることには変わりない。
ほほほ…と微笑みながらエース様は胸ポケットからハンカチを取り出すと。
顔の汗を拭き始めた。
「貴女様と出会えたのも、運だと思うのです。彼を…いや、彼ともう1人。ハガネという生徒の指導をしてもらいたい」
「ハガネ・・・?」
「青い髪の生徒です」
青い髪…と聞いて、私のテンションは一気に下がった。
「ハガネもナオミとは負けぬくらいの才能の持ち主です」
「あの…指導といってもこちらが何をすれば?」
「ああ。側に置いてやるだけで結構です。あの子たちには貴族の空気を感じさせなければなりません」
エース様の言っていることが難しすぎて、ぽかんと口を開けてしまった。
どうして、スペンサー侯爵家の人間は身勝手に…一方的に話すのだろう。
混乱して黙っていると。
「君は先に戻っていなさい」
と、老人…エアー氏が美形の男を帰らせた。
「えーと…立ち話もなんですから。中へどうぞ」
「…私が入って大丈夫でしょうか」
「大丈夫です。不敬罪だなんて言いませんよ」
私は玄関の扉を開けると大声で「バニラ―、お客さん!」と言った。
ダイニングルームに老人を招き入れ。
ソファーに座ってもらった。
すぐさま、バニラが紅茶と焼き菓子を目の前に差し出す。
「改めまして。私は、スペンサー侯爵家直属の騎士育成学校で教師をしていますエースと言います」
ぺこりとエース氏が頭を下げた。
今まで出会ってきたスペンサー侯爵家の中で。
いっちばんまともな人だと感じる。
「わたくしは、スペンサー侯爵家の客人・・・エアーです。ごめんなさい。事情があって素顔を見せることが出来ないのです」
「ほほほ。大丈夫ですぞ。ベールを見ていると、ある方を思い出させますなあ」
ある方…。
スペンサー侯爵夫人は「カレンを思い出す」と言っていたけど。
昔、カレン様も顔を隠して生きていたということだろうか。
「さて。本題ですが、エアー様」
「はい」
「さっきの彼はナオミといいまして」
「ナオミ?」
見た目が女性ぽいとは思っていたが、女性だったのだろうか。
「ほほほ。見た目も名前も女性らしいですが、男です」
心の中を読み取ったのだろうか。
おじいさん…ことエース様が説明してくれた。
「彼は私の生徒でしてな」
「えっ!?」
生徒という言葉に私は飛び跳ねてしまった。
「彼は、スペンサー家の騎士ではないのですか?」
「いいえ。まだ、15歳の右も左もわからない騎士見習いです」
「ええー」
身長は180cm近くあった。
あれだけの落ち着きようで無礼な態度。
15歳といえば、カイくんたちと同じ年齢ではないか。
「彼は実力はあるのですが、なにぶん態度がまだまだでして」
「…なるほど」
15歳の騎士見習い・・・生徒と言われて。
ようやく納得した。
いや、納得しても人間として失礼であることには変わりない。
ほほほ…と微笑みながらエース様は胸ポケットからハンカチを取り出すと。
顔の汗を拭き始めた。
「貴女様と出会えたのも、運だと思うのです。彼を…いや、彼ともう1人。ハガネという生徒の指導をしてもらいたい」
「ハガネ・・・?」
「青い髪の生徒です」
青い髪…と聞いて、私のテンションは一気に下がった。
「ハガネもナオミとは負けぬくらいの才能の持ち主です」
「あの…指導といってもこちらが何をすれば?」
「ああ。側に置いてやるだけで結構です。あの子たちには貴族の空気を感じさせなければなりません」
エース様の言っていることが難しすぎて、ぽかんと口を開けてしまった。