色褪せて、着色して。Ⅵ~黒薔薇編~

お休みをもらえませんか?

 この国のピアニストの人達と触れ合うことは、
 とても良い刺激になった。
 全員男なのは何故かと言えば。
「この国は男性社会だからです」と返事が返ってきた。

 娼婦館に潜入したときに。
 トペニが言っていたことが蘇った。
 この国の女性の立場は弱い。

「あのお、エアー様」
 朝食後。紅茶を飲んでいると。
 スズメがもじもじしながら話しかけてきた。
「明日一日だけ、お休みをもらえませんか?」
「わあっ!!」
 思わず立ち上がった私に。
 スズメも「わあ!」と叫んだ。

「忘れてた…お休みのこと」
 スペンサー侯爵家にやって来て。
 一カ月半。
 また、失態を犯した。
「スズメもトペニもバニラも休んでいいから。3日でも一週間でも」
 ゆっくりと座り込むと。
 自分の頭をぽこぽこと殴った。
 何で私は本当に自分のことしか考えていないのだろう。

「どうしたんすか?」
 騒ぎを聞いて。
 仮眠を取っていたトペニと、台所からバニラが飛んできた。
「休みをね。忘れてたの。あなたたちのお休み!」
 叫ぶように言うと。
 トペニとバニラは「あー」と声をそろえた。
「エアー様。わたくしは別にお休みは必要ありません」
「俺も特に・・・」
「いや、絶対駄目だからね。ブラック企業じゃないんだから!!」
 ブラック企業? とトペニとスズメは首を傾げる。
「いやあ。あの、エアー様。無理でしたら・・・」
「無理じゃない! むしろ命令! 休んでちょうだい」
 大声で言うと。
 トペニはスズメを見た。
「パイセンは実家に帰るんだろ? 別に俺は実家は北部だし」
「いや。実家に帰れじゃないの。お休みって必要でしょ? 美味しいもの食べたり、一日中寝てたり、遊んだりしたいでしょう?」
 …しーん。
 効果音を上げるとしたら。
 そんな感じだった。
 3人とも黙り込んだ。
< 51 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop