色褪せて、着色して。Ⅵ~黒薔薇編~
 ハガネの声にかぶせるように、大声でナオミが入ってきた。
 と、同時にどこかに行っていたバニラも戻って来た。
「マックス先輩には伝えてきた」
「あっそ」
 ナオミに対して、あっけなく答えるハガネ。
「おめえも、用があるなら今のうち行ってこい」
 ナオミの言葉にハガネは「けっ」と言うと。
「上から目線で俺に命令するな!」
 と言ってのけた。
 あー、ピリピリしているわ。

「あのお、ハガネ様。ナオミ様。お部屋の準備が整いましたので。休憩される際はそちらをご利用ください」
 遠慮がちにバニラが言う。
「必要ないっす。玄関で充分っす」
「いやいやいや。絶対に駄目! 私の評価がまた下がるから」
 スペンサー家の生徒を廊下で寝かせるって。
 また変な噂がたつに違いない。

「あるじ。一個訊きたいんだが」
 ハガネが急に怖い顔で見てくる。
「この家に俺とコイツが寝泊まりするってことだよな?」
「てめえ、俺の話聞いてなかったのか」
 怒ったようにナオミが言った。
「この家には、あるじとバニラさんしかいないんだよな」
「そうだけど」
 ハガネはみるみると血の気が引いたかと思うと。
 今度は顔がぽっと赤くなった。
「身分の高い女の人と、一つ屋根の下で過ごすのは犯罪じゃないのか?」
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