色褪せて、着色して。Ⅵ~黒薔薇編~
 騎士は主の犬だ…
 どこで聴いたセリフなのだろう。
 思い出せないけど、誰かが言っていたのは確かだ。

 15歳の青年が、真面目な顔をしてそんなことを言うのが。
 ショックだった。
 とにかく、ナオミとハガネは顔を見合わせれば喧嘩するので。
 一人は玄関前。
 もう一人は私の側に置くことにした。

「散歩に行くから、ハガネは部屋で休んでて」
「なんでナオミを連れて行くんだよー」
 ハガネが文句ばかりを言う。
「明日は、あなたについて行ってもらうから。じゃあ、行ってくる」
 逃げ出すように、家を飛び出す。

 ハガネとの会話を聴いていたバニラが「ふふふ」と笑った。
「楽しい方ですわね。ハガネ様は」
「…うーん」
 確かに、退屈はしないけど…

 ライフワークである夕方の散歩。
 家の近くをゆっくりと歩く。
 騎士や見習いの騎士たちは近寄ってくることはない。
 多分、エース様の差し金に違いない。

 舗装された道をゆっくりと歩き。
 薔薇園へと辿り着く。
「ナオミに聴きたいことがあるんだけど」
 くるりと振り返った。
 どうみても15歳とは思えない、逞しい身体つきに。
 美しい顔立ち。
「ナオミはどうして、国家騎士になりたいの?」
「…理由なんて必要なんすか」
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