完璧美人の私が恋したのは、眼鏡オタクのSEでした
約束の時間。
男が店に入ってきた、
里桜は、視線を逸らした。
(……違うよね)
だって。
高身長で、肩幅があって、
清潔感があって、
ちょっとモデルみたいな人だったから。
スマホに目を落とし、
「まだ来てないか」と確認していると――
「神崎さん。お待たせしました」
……え?
声の方向を見上げた瞬間、
脳が、止まった。
「……え?」
「え、え、え?」
そこに立っていたのは、
間違いなく白石優希、だった。
でも。
里桜の知ってる優希じゃない。
髪はすっきり整っていて、
眼鏡も似合ってるし、
服も、何それ、ずるい。
(……誰?)
(え、ちょっと待って)
「……白石、さん?」
「はい」
少し照れたように笑って、椅子を引く。
「お待たせして、すみません」
……いやいや。
待ってない。
むしろ、心の準備が追いついてない。
席に着いてからも、
里桜は何度も優希の顔を盗み見てしまった。
「……あの」
優希が、少し気まずそうに言う。
「今日、初めての食事でしたし」
「失礼があったら嫌だなと思って」
そう前置きしてから、正直に話し始めた。
美容室に行ったこと。
眼鏡を替えたこと。
服も、店員さんに相談したこと。
「ちょっと、やりすぎましたかね」
困ったように笑う。
……やりすぎ?
何言ってるの。
(むしろ、反則です)
心の中でそう叫びながら、
私は必死で平静を装った。
「……いえ」
「すごく、似合ってます」
そう言った瞬間、
優希が、ほんの少し安心した顔をした。
食事は、
思ったより自然に進んだ。
優希はよく話すわけじゃないけど、
ちゃんと聞いてくれる。
沈黙も、
変に重くならない。
そんな中で、
ふと、優希が切り出した。
「……そういえば」
「例の動画なんですが」
心臓が、ドキッとした。
「あれは……
誰かから、もらったんですか?」
声は穏やかで、責める感じは一切ない。
里桜は、少し迷ってから、正直に話した。
「……元カレです」
言ったあと、
慌てて付け足す。
「最近ですけど、
直接会ったわけじゃなくて」
「送られてきただけで……」
自分でも、
ちょっと言い訳っぽいと思った。
優希は、小さく笑った。
「なるほど」
「人気アイドルですもんね」
冗談めかした口調で、
空気を軽くしてくれる。
「……ちなみに、
彼のお名前、
聞いてもいいですか?」
私は、
少しだけ眉をひそめて考えてから答えた。
「……智也、です」
優希は、
何気ないふりをして頷いた。
でも。
その目が、一瞬だけ鋭くなったのを、
私は見逃さなかった。
(……今の、何?)
でも、
すぐにいつもの優しい表情に戻る。
男が店に入ってきた、
里桜は、視線を逸らした。
(……違うよね)
だって。
高身長で、肩幅があって、
清潔感があって、
ちょっとモデルみたいな人だったから。
スマホに目を落とし、
「まだ来てないか」と確認していると――
「神崎さん。お待たせしました」
……え?
声の方向を見上げた瞬間、
脳が、止まった。
「……え?」
「え、え、え?」
そこに立っていたのは、
間違いなく白石優希、だった。
でも。
里桜の知ってる優希じゃない。
髪はすっきり整っていて、
眼鏡も似合ってるし、
服も、何それ、ずるい。
(……誰?)
(え、ちょっと待って)
「……白石、さん?」
「はい」
少し照れたように笑って、椅子を引く。
「お待たせして、すみません」
……いやいや。
待ってない。
むしろ、心の準備が追いついてない。
席に着いてからも、
里桜は何度も優希の顔を盗み見てしまった。
「……あの」
優希が、少し気まずそうに言う。
「今日、初めての食事でしたし」
「失礼があったら嫌だなと思って」
そう前置きしてから、正直に話し始めた。
美容室に行ったこと。
眼鏡を替えたこと。
服も、店員さんに相談したこと。
「ちょっと、やりすぎましたかね」
困ったように笑う。
……やりすぎ?
何言ってるの。
(むしろ、反則です)
心の中でそう叫びながら、
私は必死で平静を装った。
「……いえ」
「すごく、似合ってます」
そう言った瞬間、
優希が、ほんの少し安心した顔をした。
食事は、
思ったより自然に進んだ。
優希はよく話すわけじゃないけど、
ちゃんと聞いてくれる。
沈黙も、
変に重くならない。
そんな中で、
ふと、優希が切り出した。
「……そういえば」
「例の動画なんですが」
心臓が、ドキッとした。
「あれは……
誰かから、もらったんですか?」
声は穏やかで、責める感じは一切ない。
里桜は、少し迷ってから、正直に話した。
「……元カレです」
言ったあと、
慌てて付け足す。
「最近ですけど、
直接会ったわけじゃなくて」
「送られてきただけで……」
自分でも、
ちょっと言い訳っぽいと思った。
優希は、小さく笑った。
「なるほど」
「人気アイドルですもんね」
冗談めかした口調で、
空気を軽くしてくれる。
「……ちなみに、
彼のお名前、
聞いてもいいですか?」
私は、
少しだけ眉をひそめて考えてから答えた。
「……智也、です」
優希は、
何気ないふりをして頷いた。
でも。
その目が、一瞬だけ鋭くなったのを、
私は見逃さなかった。
(……今の、何?)
でも、
すぐにいつもの優しい表情に戻る。