完璧美人の私が恋したのは、眼鏡オタクのSEでした
場所は、南青山グローバルHD本社
大会議室。
長いテーブルの片側に、三条繊維側。
勝と数名の役員、そして総務部長。
反対側に、グローバルHD側。
一ノ瀬、マサト、
セキュリティチームのトップ、
数名の担当者。
そして、中央寄りに座るのが
白石優希だった。
普段は目立たないはずの席なのに、
今日はそこが“中心”だった。
一ノ瀬が口火を切る。
「状況は最悪に見えるが、
決めることはシンプルだ」
「払うか、払わないか」
「そして、犯人を止める」
勝のこめかみがわずかに震える。
「……一ノ瀬くん」
「この情報、本当に、うちから漏れたのか」
一ノ瀬は優希を見る。
優希は一度、
小さく息を吸ってから立ち上がった。
「現状報告をします」
スクリーンに、ログのタイムラインが映る。
侵入の痕跡。
横移動の形跡。
権限昇格らしき動き。
そして、遮断までの数分。
「相手は、
国内トップクラスのハッカーです」
「個人ではなく、
組織的犯行の可能性が高い」
ざわ、と空気が揺れた。
“国内トップクラス”という言葉が、
重かった。
「前回、
サーバーを遮断するまでの短い時間に
情報が抜かれた可能性があります」
「ただし、現時点で“
どこまで抜かれたか”は断定できません」
勝が、低い声で言う。
「……断定できない、ということは
最悪、全部か」
「はい」
優希は否定しなかった。
その代わり、言葉を続ける。
「ですが、相手が“全部持っている”なら
今さら数件だけ見せるのは、
腑に落ちない」
「見せ方が、脅迫のための演出に見えます」
セキュリティチームトップが補足する。
「つまり、持っている量は不明
しかし、侵入に成功している以上、
脅迫は現実」
「ここからは、時間との勝負になります」
勝の手が、テーブルの端を強く握る。
「……1億
払えば、公開しないのか」
マサトが、静かに首を横に振った。
「払っても終わりません、次は“2億”です」
「脅迫は、成功体験になる」
一ノ瀬が、視線を上げる。
「だから、払わない」
言い切った。
迷いがない。
三条側の役員が反射的に口を挟む。
「しかし、もし公開されたら——」
「もしもの時は、
弊社が最善を尽くします。
ですが今は、相手が動く前に
最大限の対策が必要です。」
一ノ瀬は短く遮った。
その言葉だけで、場が静まる。
大会議室。
長いテーブルの片側に、三条繊維側。
勝と数名の役員、そして総務部長。
反対側に、グローバルHD側。
一ノ瀬、マサト、
セキュリティチームのトップ、
数名の担当者。
そして、中央寄りに座るのが
白石優希だった。
普段は目立たないはずの席なのに、
今日はそこが“中心”だった。
一ノ瀬が口火を切る。
「状況は最悪に見えるが、
決めることはシンプルだ」
「払うか、払わないか」
「そして、犯人を止める」
勝のこめかみがわずかに震える。
「……一ノ瀬くん」
「この情報、本当に、うちから漏れたのか」
一ノ瀬は優希を見る。
優希は一度、
小さく息を吸ってから立ち上がった。
「現状報告をします」
スクリーンに、ログのタイムラインが映る。
侵入の痕跡。
横移動の形跡。
権限昇格らしき動き。
そして、遮断までの数分。
「相手は、
国内トップクラスのハッカーです」
「個人ではなく、
組織的犯行の可能性が高い」
ざわ、と空気が揺れた。
“国内トップクラス”という言葉が、
重かった。
「前回、
サーバーを遮断するまでの短い時間に
情報が抜かれた可能性があります」
「ただし、現時点で“
どこまで抜かれたか”は断定できません」
勝が、低い声で言う。
「……断定できない、ということは
最悪、全部か」
「はい」
優希は否定しなかった。
その代わり、言葉を続ける。
「ですが、相手が“全部持っている”なら
今さら数件だけ見せるのは、
腑に落ちない」
「見せ方が、脅迫のための演出に見えます」
セキュリティチームトップが補足する。
「つまり、持っている量は不明
しかし、侵入に成功している以上、
脅迫は現実」
「ここからは、時間との勝負になります」
勝の手が、テーブルの端を強く握る。
「……1億
払えば、公開しないのか」
マサトが、静かに首を横に振った。
「払っても終わりません、次は“2億”です」
「脅迫は、成功体験になる」
一ノ瀬が、視線を上げる。
「だから、払わない」
言い切った。
迷いがない。
三条側の役員が反射的に口を挟む。
「しかし、もし公開されたら——」
「もしもの時は、
弊社が最善を尽くします。
ですが今は、相手が動く前に
最大限の対策が必要です。」
一ノ瀬は短く遮った。
その言葉だけで、場が静まる。