完璧美人の私が恋したのは、眼鏡オタクのSEでした
 優希が頷き、話を切り替える。

 「対策チームを二系統で動かします」
 「ひとつは“セキュリティ”」
 「もうひとつは“脅迫対策”です」

 画面が切り替わり、二つの柱が表示される。

 セキュリティ対応(リーダー:白石)
 • 侵入経路の特定と封鎖
 • 感染端末の洗い出し(総務部PC含む)
 • ログの保全と解析(証拠化)
 • 追加流出の監視(外部通信の監視強化)
 • 必要なら、
  おとり環境で相手の手口を誘導

 脅迫対策(リーダー:マサト)
 • 連絡経路の確保 
 (相手の要求窓口を逆利用)
 • 身元特定に繋がる“人”の線を洗う
 • 内部協力者の有無の確認
 • 会社・関係者の安全確保
 (社員、家族含む)

 マサトが、淡々と続ける。

 「相手が組織なら
  技術だけでは終わりません」
 「必ず、金の流れと、人の流れがあります」

 勝が、やっと顔を上げた。

 「……頼む」
 「うちの会社を、守ってくれ」

 その言葉は、命令じゃなかった。
 懇願でもなかった。
 ただ、現実を受け入れた人の声だった。

 一ノ瀬は、短く頷く。

 「守ります、会社も、人も」

 会議室の空気が、静かに固まる。
 ここから先は、甘さが許されない。

 優希は、最後に一言だけ足した。

 「相手は、こちらの動きを見ています」
 「だから、こちらも見せ方を変える」
 「“狩られる側”のままでは終われません」

 その瞬間。
 勝の背中に、遅れて理解が走った。

 ——これは、ただの復旧作業じゃない。
 ——戦争だ。

 そして、
 その最前線に立つのが、優希だということも。
< 38 / 55 >

この作品をシェア

pagetop