冷徹CEOと、一夜から始まる溺愛契約
「紗良が自分の家のために、好きでもない相手と無理やり一緒になったんじゃないか。そう思って、ずっと胸が痛んでいたんだ」
父が私の手を取る。
「でも今、お前たちを見ていると――本当に愛し合っているのがわかるよ。父親として、これ以上の幸せはない」
父の目に、涙が浮かぶ。
「湊くん、娘を……紗良をよろしく頼むよ」
「はい」
湊が私の手を、強く握りしめた。
「紗良のお母さんも、きっと喜んでいるな」
父の言葉に、私の目頭が熱くなる。
私たちが歩んできた三ヶ月は、始まりこそ歪だったかもしれない。
けれど、彼の手の温もりと父の笑顔。それが、今の私にとっての真実だった。
「これからも、二人で支え合っていくんだぞ」
「はい」
声を揃えて答える私たちを見て、父が満足げに頷く。
「よし。それじゃあ、私も早く退院できるように頑張るか」
その言葉に、私たちは笑顔になった。
◇
病室を出た後、湊が周りを気にせず私の手を強く握りしめた。
「……認められた。お前の父親に、ようやく認めてもらえたんだな」
湊の声は、震えるほどの喜びに満ちていた。
「これから、お前のことをもっと幸せにしてみせる。紗良……歳をとって、髪が白くなっても、ずっと一緒にいよう」
「もちろんです。ずっと、あなたの隣が私の居場所ですから」
冬の澄んだ夜空には、数えきれないほどの星が輝いている。
私たちの未来も、あの光のように、決して消えることなく輝き続ける。
繋いだ手の熱さを感じながら、私はそう確信していた。